Friday, March 20, 2020

東京五輪、封印解けた延期論 示されるべき判断材料とは - 朝日新聞

 東京オリンピック(五輪)の「中止」は考えていないが、シナリオは複数考えている――。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が米紙で「延期」を示唆した。東京都や大会組織委員会はこれまで、「予定通り」と唱え続けて、「仮定の話には答えない」との立場を取っていた。しかし、IOC会長が「複数のシナリオ」を認めた以上、これまで封印してきた「延期論」を本格的に検討し、追加負担の規模など、想定される事態を示すべき時期に来ている。

 朝日新聞社が14、15日に実施した全国世論調査(電話)で東京五輪・パラリンピックをどうするのがよいかを3択で聞くと、「延期する」が最も多く63%で、「予定通り開催する」23%、「中止する」9%を大きく上回った。

 しかし、世論調査の時点でも今も、選手村、会場の新たな確保、人件費など、追加負担が数百億円規模なのか、数千億円規模にまで膨らむのかなどの判断材料がない。「延期」派の中に、額によっては「中止」に転じる層がいると思う。

 たしかに、中止になった場合、東京都が大会予算に計上した1兆3700億円は戻ってこない見込みで、巨額の「損切り」を意味する。

 バッハ会長は米紙に対し、1、2年延期になった場合でもIOCの財政面は揺らがないと胸を張る。中止、延期などを判断する権限はIOCにある。日本側としては、かじを切る場合、IOCに一定の割合を負担してもらう合意を取り付けるのが理想だ。それなら費用負担が野放図に膨らむリスクは減り、国内の賛同も得られやすい。(編集委員・稲垣康介)

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