2023年の二次・一次電池材料市場、2018年比2.1倍に
富士経済は2020年3月、リチウムイオン二次電池(LIB)材料の世界市場を調査し、その結果を発表した。2023年のLIB材料の市場は、5兆7781億円に達すると予測。2018年に比べその規模は2.2倍となる。
今回は、リチウムイオン二次電池材料12品目、アルカリ二次電池材料4品目、一次電池材料4品目および、金属資源・出発原料3品目の合計23品目を調査し分析した。調査期間は2019年7〜12月である。
LIB材料市場は、2018年に2兆5995億円の規模となった。LIBの量的拡大に加えコバルトの価格上昇もあって、2017年に比べると38.3%増加した。2019年はコバルト価格が下落したこともあって、市場規模は2兆6515億円となり前年比2.0%の微増にとどまった。数量ベースではすべの品目で増加しているという。
今後は、LIBの需要増加やxEV向けLIBの高容量化などが期待でき、2023年の市場規模は5兆7781億円と予測した。
材料メーカーの動向をエリア別にまとめた。日本と韓国の材料メーカーは、付加価値の高い材料に事業の軸足を移す。特に日本材料メーカーは日本のLIBメーカーと北米EVメーカー向け電池での採用実績が多い。韓国材料メーカーは、韓国LIBメーカーが欧州自動車メーカーへの提案活動を強めていることが需要増につながるとみている。これに対し中国材料メーカーは、中国LIBメーカー向けを中心に存在感を高めているという。高い技術力を保有する上位メーカーなどは、日本を含む海外のLIBメーカーに対し、アプローチを強める。
LIB材料の中で、最も市場規模が大きいのは「正極活物質」である。2019年は1兆3452億円で、前年比9.4%の減少となった。コバルト価格の下落により、コバルト酸リチウム(LiCoO2)市場はほぼ半減した。今後、xEV向けで期待されるのが「三元系」と「ハイニッケル」である。三元系は2022年に、ハイニッケルは2023年にそれぞれ、1兆円規模に達するとみられている。こうした動向を踏まえ、正極活物質の市場規模は、2023年に3兆1095億円と予測した。
黒鉛やソフトカーボン、ハードカーボンなど、主に炭素系物質を用いる負極活物質は、2019年見込みの2712億円に対し、2023年は5817億円と予測した。今後は、高容量化への対応としてシリコン系負極などの採用も増える見通しである。
LIB材料としては、炭酸リチウムや水酸化リチウム、コバルト、ニッケルなど希少金属も多く用いられている。LIBの需要増により、これら金属の使用量も増加する。調査によれば、2023年は2018年に比べて炭酸リチウムが2.9倍の41万8000トン、水酸化リチウムが4.4倍の18万トン、ニッケルは4.2倍の26万4000トンに、それぞれ増えると予測している。
なお、二次電池と一次電池を合わせた電池材料の世界市場は、2019年見込みが2兆8834億円である。2018年に比べ1.9%の増加にとどまる。2023年は6兆379億円と予測した。中でもLIB材料が需要拡大をけん引する。市場全体では2018年に比べ2.1倍となる見通しだ。
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March 31, 2020 at 07:30AM
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