物質・材料研究機構は2020年4月1日、「構造材料データシート」2019年度分を5冊のデータシートとして2020年3月31日付けで発行したと発表した。中立的な立場で試験規格に従い、クリープ特性、疲労特性、腐食特性、極低温疲労特性などについて系統的なデータを取得し、まとめたものだ。
発行内容は、火力発電プラント用耐熱鋼クリープデータシートの改訂版、ステンレス鋼、アルミニウム合金の疲労データシート、大気曝露試験片に生成したさびの断面写真集、チタン合金(鍛造材)の極低温疲労の宇宙関連材料強度データシート。これらを5冊にまとめ、発行した。
火力発電プラント用耐熱鋼クリープデータシートには、火力発電プラント用材料について、クリープクリープ破断データ、高温引張試験データなどを記載している。
疲労データシートは、「疲労データシートNo.127」「疲労データシートNo.128」の2冊となっている。No.127は、二相ステンレス鋼SUS821L1について、ひずみ制御試験と荷重制御試験により取得した低、高サイクル域での疲労特性と、回転曲げ疲労試験により取得した高サイクル域での疲労特性を記載。No.128は、アルミニウム合金A6061-T6について、ひずみ制御試験と荷重制御試験により取得した低、高サイクル域での疲労特性を記載している。
クリープデータシートおよび疲労データシートは、機械、構造物の強度設計での設計応力の設定や材料選択のための基盤的データとして、産業界での活用が期待される。
さびの断面写真集は、電解鉄に割合を変えたCrおよびNiを添加したFe基二元系合金について、1.5年間曝露した試験片に生成したさびの写真を掲載。田園環境、海浜環境、亜熱帯海浜環境においてCrやNiが大気環境での初期耐食性に及ぼす効果について理解を深める上で有効なデータだ。
宇宙関連材料強度データシートは、Ti-6Al-4V ELI合金について、荷重制御試験で得られた高サイクル疲労特性を温度別に明らかにしている。同データは、H-IIAロケット、H-IIBロケットの第1段および第2段エンジンの強度余裕評価や改良設計に使用されている。
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