Tuesday, April 14, 2020

材料開発を支えるDJK - ゴム報知新聞NEXT

高分子材料の研究・試験・評価機関として50年以上の実績

原材料 New! 2020-04-15

 モノ作り日本を支える基礎研究の中で、材料開発はその要となる。DJK(本社・神奈川県横浜市、岩井俊憲社長)は高分子材料の研究、試験、評価の受託機関として材料研究から製品開発の基礎研究支援など、メーカーから寄せられる課題を解決してきた。1964年に大日本樹脂研究所として設立され、56年間にわたって高分子材料の研究開発の支援に特化して取り組んでいる。「当社が創業した56年前は私設の基礎研究支援サービスを行う機関は少なかった。従来自社で行ってきた基礎研究や材料・製品の評価などを当社のような委託機関を使い、開発のスピードアップや合理化を図る企業が増えてきた」と、三輪尚己受託研究部部長は語る。

基礎研究のアウトソーシング化が強まっている


 ■景気に左右されない基礎研究
 2008年のリーマンショックの時はグローバル規模での金融危機とあって、国内の開発案件が一気に止まった。だが、米中貿易摩擦ではほぼ影響は無かった。2019年9月期においてはむしろ過去最高の業績を収めることができた。2019年10月スタートも引き続き好調だ。お客様の開発が止まってしまえば我々も共倒れするが、今のところ開発分野は順調だ。今後の次世代に向けた材料開発についてはメーカーとして気になるため、開発を止めることはないと思う。

 またリーマンショックの時代がきっかけとなったが、メーカーが技術者を削減したり新たな採用をしなかったことで、技術者の人材不足になり、その結果として当社を外注先として利用することが増えてきた。自社では設備投資と人件費の抑制を行い、その代わりに当社を活用していただいている。景気というよりは開発への投資の新しい方向性のひとつとして、当社を利用していただいていると感じている。

三輪尚己受託研究部部長


 ■基礎研究のアウトソーシングについて
 ここ最近、メーカーの基礎研究のアウトソーシング化は強まっているようだ。かつてはメーカーが自前で行っていたような案件を当社に依頼してきており、当社の役割が広く認識されはじめてきていると捉えている。もともと、当社は第3者機関として、またアウトソーシングされる側として、広く宣伝はしてこなかった。

 しかし最近は、存在価値を知らしめる方法として展示会に小間を出したり、ホームページを充実させている。

材料開発支援からモノを作っての評価まで手がける

 ■基礎研究から製品加工まで
 具体的な仕事内容は、①基礎研究・開発支援②高分子分析③高分子加工性④高分子物性⑤高分子耐久性などの試験サービス。さらに海外試験サービスも手掛けており、海外での適応試験の申請代行業務を行っている。具体的には米国のFDAに対する化学物質の登録、医療品関係の登録、生分解性樹脂の試験と認証代行などを行っている。

 マイクロプラスチックスや海洋ゴミなど環境問題が大きくなったことで、特に生分解性樹脂などが大手メーカーに注目されてきており、問い合わせが増えている。傾向として生分解性樹脂を使ったものでの評価や、サンプルを作って欲しいなどといった依頼が近年増えた。

 ■依頼の内容について
 分析だけ、あるいは試験片作りだけといった単発モノの依頼もあれば、複数に連なった試験依頼もある。また当社の強みのひとつにモノを作って評価できるということがある。重合したものをどの分野に活用できそうかなど特性の評価までできるのが強み。製品の1、2歩手前まで面倒を見ることができるのが特徴となる。その他に、もう少し材料の性能を上げる目的で試験片づくりから配合のところまで遡って、混練試験を受託することもある。

 ■顧客について
 ほぼ95%が、国内企業からの依頼となっているが、顧客の中には外資の日本法人もいる。今後は海外に進出もしたいと考え、ドイツの「K2019」にも出展した。

 ■時代の傾向・背景
 近年はセルロースのナノファイバーなどのように開発もトレンドに沿った評価が増えてきた。炭素繊維の強化プラスチックに関した評価も多い。自動車業界が軽量化を目標にすることで金属代替が進んでいて、樹脂の耐久性などの評価も多く、色々なアプローチで期待されている。

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