「好材料の綱引きは連休明けに雌雄決するか」
●戻り相場の上値限界、首の皮一枚残すか
新型コロナウイルスの脅威は、時を経るごとに容易ならざる事態を将来引き起こすと予想させるに十分である。
この深刻な事態がさらに長引くようであれば、戦後の世界の政治、経済、社会の秩序を根底から覆してしまうリスクをはらんでいるかにみえる。
まさに、見えない敵を相手にした第3次世界大戦ともいえる。
だからこそ、妙な噂も流れる。このコロナを仕掛け、広めたのは某(なにがし)だといった類いだ。人の気持ちが苛立ってきた証か。戦後の秩序が行き詰まってきたことで、暴力的にチャラにして新たな世界秩序を構築しようとする意図か。
ところで、株価は好悪材料が綱引きしながら上昇を加速してきた。景気の実態悪の顕在化という悪材料に対し、日米欧の政府、中央銀行による対コロナへの破天荒ともいえる前代未聞の財政、金融政策が好材料である。なかでも米国の本気度と覚悟が市場に伝わっている。なにせ、ジャンク債まで買い取ってしまうという荒業である。こうした本気度が悪材料に勝っているのだ。
このため、米国株価はNYダウが2万4000ドル前半を通過。日本株も日経平均株価がようやく2万円という大きなフシ目を突破してきた。
しかし、ここまでくると、この上昇が本格相場の序章なのか、単なる戻り相場にすぎないのかが問われる段階に入ってきたとみてよい。
本格上昇相場なら、景気が元のサヤに収まる、ということになるが、さすがにそれは難しい。ならば戻り相場、当然上値には限界があるはず。それはどこか。
筆者は前回の拙稿で2万円から2万1000円、日柄で4月いっぱいと予想したが、4月第4週のように首の皮一枚で再上昇するか。
●反転上昇期待の柱はハイテク株
今後は新たな好材料としてコロナ治療薬、ワクチンの開発に注目が高まる。各国が先を争って開発に挑む。
一方、対する悪材料はやはり消費、サービスの需要が吹っ飛んだことで製造、そして金融システムまで災いが及ぶことへの懸念。また、原油価格がいまの水準で推移すれば、やがてコストが1バレル40ドル台のシェール開発業者は破綻に追い込まれる。ジャンク債に波及して金融システムが揺らぐリスクもあろう。綱引きの結果は、連休明け早々にも明確になろう。待ちたい。
さて、こういう厳しい市況でも頑張っている銘柄がある。3月決算が悪くてもそれを半ば織り込み、反転上昇する銘柄群は、やはり米国株でアップルやアマゾンなどハイテクノロジー株が人気を保持していることからハイテク株がメインだ。
一つは永守CEOが統率する日本電産 <6594> だ。今期純利益は前期比66%増の1000億円を見込む。ここ1カ月の底もみを経ての出直りだ。次に今期2ケタ増収益予想のMonotaRO <3064> に注目したい。大企業顧客向けも順調に拡大している。
最後に、SGホールディングス <9143> も妙味がありそうだ。全体市況悪も目に入らないかのようにひたすら株価は前進している。巣ごもり消費増に期待したい。
2020年5月1日 記
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